浄土宗出版
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2010年 7月

今月の言葉

自分を飾らないで

Each one of us is inherently perfect. There is no reason to try to be more than we already are.

 突然ですが、皆さんは上司・友人・恋人など、誰かの前で“できる自分(仕事やスポーツなど)”を見せようとして、失敗してしまった経験はありませんか?
 これは、私が大学4年の時の話です。卒業を1年後に控え、卒業論文を作成する事になりました。始めのうちは「4年間の集大成としていい論文を残したい」と思いながら取り組んでいました。しかし、友人や後輩からの誘いにのって気を緩めているうちに、いつしか当初の思いはどこかへ消え去り、卒業論文に向かう姿勢も日に日に悪くなっていきました。誰も見ていない時は怠けていましたが、いざ先生に指導してもらう時だけは、自分を認めてほしいが為に“真面目な自分”を演じ、いつも上辺だけ取り繕った課題を提出してごまかしていました。それを繰り返しているうちに、私はいつの間にか本当の自分を見失い、何ができて何ができないのか、次に何をすればいいのかさえも分からないような状態に陥ってしまいました。結果的に、先生に認めてほしいが為にとった行動は逆に信頼を失う裏切り行為となり、完成した卒論も目指していたそれとは大きくかけ離れたものになってしまいました。今になって当時の事を思い返すと、先生に対してなぜごまかさずにありのままの自分をさらけ出し「わかりません、教えて下さい」と素直に言えなかったのかと、後悔の思いで一杯です。
 多くの人は、誰かに評価されたり認められたいと思うと、ついつい自分を飾り、いいように装ってしまうものです。果たしてその姿を本当の自分だと言う事ができるでしょうか?
阿弥陀さまは「お念仏をとなえる全ての衆生を極楽浄土へ救いとる」とお誓いになられており、誰であってもお念仏をとなえれば必ず往生は叶います。しかし、外面は念仏をとなえ努力しているように振る舞っていても、内心では「面倒だ」と裏腹な気持ちでは、阿弥陀さまの御心に背く事になるでしょう。極楽往生を願う上で重要な事は、自分が救われようのない凡夫である事を自覚し、心から「阿弥陀さま、私を救って下さい」と思い、お念仏ができるか否かにかかっているのです。つまり、飾ることのない、ありのままの自分で阿弥陀さまに向き合えるかどうかという事です。
 皆さん、胸に手を当てて考えてみて下さい。あなたは今、自分を飾る事なく“ありのまま”の姿で暮らせていますか?

(岩手県盛岡市・吉祥寺副住職 武田法應)
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自分を飾らないで

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